特定技能の給食は外食業から飲食料品製造業へ|介護1号枠は2万人増の案

2026年4月13日から特定技能「外食業」分野の新規受け入れが止まり、病院や福祉施設の給食を担う事業者様からも、今後の見通しについてお問い合わせをいただいています。2026年10月19日の政府の有識者会議では、給食業務を飲食料品製造業分野へ移す案と、介護分野の枠を育成就労から2万人分付け替える案が示されました。給食の案は「外食業の再開」ではありません。2つの案の中身と、事業者様がいま確認すべきことを、行政書士・外国人雇用労務士の立場から解説します。

(2026年10月21日時点の情報です)

目次

この記事のポイント

  • 病院・福祉施設・学校の給食業務を、外食業分野から飲食料品製造業分野へ移し、令和9年度(2027年度)の新規申請分から受け入れる案が示されました。
  • 外食業分野そのものの新規受け入れ停止は続きます。今回の案は「外食業の再開」ではありません。
  • 介護分野は全体の枠160,700人を変えずに、育成就労の枠から2万人分を特定技能1号へ移す案が示されました。
  • いずれも12月の閣議決定をめざす段階の案です。給食・介護の事業者様は、自社の業務がどの分野に当たるかを今のうちに確認しておくことが大切です。

この記事が特に役立つのは、次のような方です。

  • 病院・福祉施設・学校の給食を請け負う事業者様
  • 特定技能1号「介護」で受け入れを予定している介護事業者様
  • 給食・介護の分野で働く、または働きたい外国人の方

なお、レストランなど一般の外食業で新規受け入れを検討している事業者様には、今回の案は当てはまりません(外食業分野の停止は続きます)。

政府は特定技能の何を見直そうとしているのか?

政府が見直そうとしているのは、給食業務を受け入れる分野と、介護分野の人数枠の配分の2点です。2026年10月19日の第15回有識者会議(出入国在留管理庁)で、分野別運用方針の改正案として示されました。

示された案の柱は次の2つです。

  • 給食業務の受け入れ分野の変更:外食業分野に含まれ、新規受け入れが止まっている医療・福祉施設などの給食業務を、飲食料品製造業分野で受け入れる案
  • 介護分野の枠の付け替え:2027年4月に始まる育成就労制度の介護の枠を2万人分減らし、その分を特定技能1号の枠に上乗せする案

育成就労制度の方針は、育成就労制度の方針(閣議決定)の記事でも取り上げています。

日本経済新聞(10月13日)は、全体の上限は変えずに必要な人数を確保する考えだと報じています。実際に会議資料でも、特定技能1号と育成就労を合わせた受入れ見込数の合計1,231,900人は変わらない形になっています。時事通信と日本経済新聞(いずれも10月19日)によると、政府は12月の閣議決定をめざしています。

病院・福祉施設・学校の給食は飲食料品製造業分野でどう受け入れるのか?

給食業務を外食業分野から飲食料品製造業分野へ移し、令和9年度(2027年度)の新規申請分から緊急的措置として受け入れる案です。外食業分野の受け入れ停止が解除されるわけではありません。日本経済新聞(10月19日)も、見直し後も外食業の受け入れ停止の措置は維持されると報じています。

現在の扱いと見直し案を比べると、次のとおりです。

項目現在見直し案
給食業務の分野外食業分野飲食料品製造業分野
新規の受け入れ外食業分野の停止により原則止まっている(2026年4月13日〜。技能実習〈給食製造〉からの移行などは除く)令和9年度(2027年度)の新規申請分から受け入れ
外食業分野の受入れ見込数(特定技能1号)50,000人変更なし
飲食料品製造業分野の受入れ見込数(特定技能1号)133,500人変更なし

対象になる給食業務・事業所はどこか?

対象は、学校・医療・福祉などの事業所で「施設給食業」として、食材の下処理から調理までを一連で行う業務です。

具体的には、食材の下処理から、加熱しない調理・加熱調理までを一連で行い、施設の給食を作る業務とされています。対象となる事業所は、日本標準産業分類の次の4つに当たる事業所で「施設給食業」を営む場合とされています。

  • 学校教育
  • その他の教育・学習支援業
  • 医療業
  • 社会保険・社会福祉・介護事業

分野を移す理由として、会議資料では次の点が挙げられています。

  • 接客の比率が低い
  • 医療・福祉を支えるエッセンシャルワーカーである
  • 有効求人倍率が高い(令和8年5月時点で、給食等調理員(学校給食除く)7.37倍、学校給食調理員2.36倍)
  • 日本メディカル給食協会の会員事業者を対象とした厚生労働省のアンケート(令和8年8月)で、求人充足率が33.0%にとどまる

同じアンケートでは、欠員のない事業者はなく、約4割に多数の欠員があったとされています。

なお、接客のないセントラルキッチンや学校給食センターなどは、もともと飲食料品製造業分野で受け入れる運用です。今回の案は、これまで外食業分野に入っていた施設の給食業務を、飲食料品製造業分野に移すものです。

外食業分野の受け入れ停止の経緯や現状は、こちらの記事で詳しく解説しています。

特定技能の受け入れ停止はなぜ?外食業の上限逼迫と企業の対応策

介護分野の特定技能1号の枠はどう変わるのか?

介護分野全体の受入れ見込数160,700人は変えずに、育成就労の枠から2万人分を特定技能1号へ移す案です。特定技能1号「介護」が上限に達して新規受け入れが止まるのを避ける狙いがあると、日本経済新聞(10月13日)は報じています。

2026年1月23日に閣議決定された現在の配分と見直し案は、次のとおりです。

区分現在(2026年1月23日閣議決定)見直し案
特定技能1号126,900人146,900人(+20,000人)
育成就労33,800人13,800人(−20,000人)
介護分野の合計160,700人160,700人(変更なし)

介護分野で特定技能外国人を受け入れる際の基本は、介護分野の特定技能外国人の受け入れの基本をご覧ください。

見直しの背景には、特定技能1号「介護」の在留者数が想定より速いペースで増えていることがあります。

  • 令和5年12月末:28,400人
  • 令和6年12月末:44,367人
  • 令和7年12月末:67,871人
  • 令和8年6月末:79,884人(速報値)

会議資料では、現在の配分のままでは令和9年度後半に受入れ見込数の126,900人を超える可能性があるとされています。

配分を変える根拠としては、技能実習「介護」の1号の認定が令和7年度で5,810人だったこと、聞き取りをした事業者6社のすべてが特定技能を重視していたことが示されています。

特定技能と育成就労の間で枠を付け替えるのは、相当の必要性と許容性がある場合に限る例外的な扱いとされています。

なぜ「制度に綻び」と言われているのか?

分野ごとに必要な人数を見込んで受け入れるはずの制度で、業種や人数枠の付け替えが続いているためです。日本経済新聞(10月13日)は、こうした付け替えは、分野ごとに必要な人数を受け入れる本来の趣旨から外れていると指摘しています。

外食業分野の停止をめぐっては、2026年9月9日の第14回有識者会議の議事要旨で、委員から次のような意見が出ています。

  • 閣議決定からわずか約2か月での受け入れ停止は、行政のミスと言える状況である
  • ほかの分野でも上限到達が見込まれる場合は、状況を精査して対策を検討すべきである
  • 在留者数の公表の頻度を上げるべきである
  • 停止の前に十分な周知期間を設けるべきである

介護分野について、毎日新聞は、育成就労の枠を制度が始まる前に引き下げてやりくりする「苦肉の策」だと伝えています。同紙によると、全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長は、数字の付け替えは見立てがずれていたことを示しており、現場に即したより精緻な計画が必要だという趣旨の指摘をしています。

受入れ見込数は、2026年1月23日の閣議決定から1年たたずに見直し案が出るなど、計画期間の途中でも変わることがあります。受け入れを計画する事業者様は、枠が途中で変わる前提で採用の時期を考えておくことをお勧めします。

給食・介護の事業者はいま何を確認すべきか?

まず確認したいのは、自社の業務がどの分野・業務区分に当たるかと、外食業分野の停止中の手続きの扱いです。外食業の停止は続く一方、給食は2027年度から別の分野で受け入れを再開し、介護は枠の付け替えで受け入れを続ける案が出ているため、自社がどちらに当たるかで準備が変わります。

  • 自社の業務の確認:給食を請け負う事業者様は、提供先(学校・病院・福祉施設など)とあわせて、自社の業務が「施設給食業」に当たるかを確認しましょう。

外食業分野の現在の扱いは、次のとおりです。

  • 2026年4月13日以降に受理された在留資格認定証明書交付申請は、原則不交付とされています。
  • 4月12日までに受理された在留資格認定証明書交付申請は、受付日順に交付が続いています(2026年10月19日掲載の審査状況では、2月6日受付分まで)。
  • 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した方の特定技能1号(外食業)への変更は、停止後も許可されています(同審査状況では、9月30日受付分まで許可)。
  • すでに在留している方の在留期間更新は、通常どおり許可されています。
  • 外食業分野の中での転職(在留資格変更)は、通常どおり審査されています。
  • 停止中にできること・できないことは、外食業分野の受け入れ停止で何ができなくなり、何が続けられるかの記事でも取り上げています。

あわせて、次の点も確認しておきましょう。

  • 介護分野の在留者数の確認:出入国在留管理庁が公表する在留者数を定期的に確認し、上限との差を把握しておきましょう。
  • 決定までの流れの把握:今回の内容はまだ案の段階です。閣議決定や、関係する告示などの改正を待つ必要があります。

注意したいのは、すでに特定技能「外食業」で給食業務に従事している方の今後の扱いです。見直し後に、在留期間更新や転職が外食業分野と飲食料品製造業分野のどちらの扱いになるかは、10月19日の会議資料では示されていません。決まり次第、確認が必要です。

個別の状況については専門家にご相談ください。

今後のスケジュールはどうなるのか?

12月の閣議決定をめざし、給食業務は令和9年度(2027年度)の新規申請分から新しい扱いとなる案です。現時点の見通しは次のとおりで、今後変わる可能性があります。

  • 2026年10月19日:第15回有識者会議で、給食・介護の見直し案が示されました。
  • 2026年12月:閣議決定をめざすと報じられています(時事通信・日本経済新聞)。
  • 2027年4月1日:技能実習制度に代わる育成就労制度が施行されます。
  • 令和9年度(2027年度)の新規申請分から:給食業務を飲食料品製造業分野で受け入れる案です。

同じ会議では、建設分野の業務に除雪を加える案なども示されています。特定技能制度の全体像(19分野、1号と2号の違いなど)は、こちらの記事で解説しています。

特定技能とは?19分野の上限80万人、1号・2号の違いを解説

まとめ:外食業の停止は続き、給食は別の分野で再開、介護は枠を付け替える案

2026年10月19日の有識者会議で、特定技能の給食と介護に関する見直し案が示されました。外食業分野の新規受け入れ停止は続く一方で、病院・福祉施設・学校の給食業務は2027年度から飲食料品製造業分野で受け入れを再開し、介護は育成就労から移した枠で受け入れを続ける案です。

いずれもまだ案の段階で、12月の閣議決定がめざされています。対象となる事業者様は、今回の案が「外食業の再開」ではないことを押さえたうえで、自社の業務がどの分野に当たるかを今のうちに確認しておきましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 外食業分野の特定技能の受け入れは再開されるのですか?

A1. いいえ。今回の案は外食業分野の受け入れを再開するものではありません。日本経済新聞(10月19日)によると、2026年4月13日から続く外食業分野の在留資格認定証明書の交付停止は、見直し後も維持されます。今回示されたのは、外食業分野に含まれていた病院・福祉施設・学校などの「施設給食業」の業務を、飲食料品製造業分野で受け入れるという案です。レストランなど一般の外食業での新規受け入れは、引き続き止まったままです。

Q2. 学校の給食も対象になりますか?

A2. 対象になる案が示されています。2026年10月19日の有識者会議の資料では、対象の事業所として、日本標準産業分類の「学校教育」「その他の教育・学習支援業」「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」で「施設給食業」を営む場合が挙げられています。なお、接客のない学校給食センターなどは、もともと飲食料品製造業分野で受け入れる運用です。自社の業務がどちらに当たるかは、個別に確認することをお勧めします。

Q3. いつから新しい扱いになりますか?

A3. 案のとおりに進めば、給食業務の新しい扱いは「令和9年度(2027年度)の新規申請分から」となります。2026年10月19日の有識者会議で案が示された段階で、時事通信などの報道によると政府は12月の閣議決定をめざしています。閣議決定と関係する告示などの改正が終わるまでは、新しい扱いで申請することはできません。今の時点では、決定の発表を待ちながら準備を進める段階です。

Q4. 介護分野の特定技能は、すぐに受け入れ停止になりますか?

A4. 2026年10月21日時点で、介護分野の受け入れは停止されていません。特定技能1号「介護」の在留者数は令和8年6月末で79,884人(速報値)と速いペースで増えており、現在の配分のままでは令和9年度後半に上限の126,900人を超える可能性があるとされました。そこで、育成就労の枠から2万人分を特定技能1号へ移し、上限を146,900人とする案が示されています。

Q5. すでに特定技能「外食業」で給食の仕事をしている外国人はどうなりますか?

A5. 外食業分野の停止中も、在留期間の更新は通常どおり許可されています。ただし、見直し案が実施された後、すでに給食業務に従事している方の更新や転職が外食業分野と飲食料品製造業分野のどちらの扱いになるかは、2026年10月19日の有識者会議の資料では示されておらず、まだ決まっていません。今後の発表を確認する必要があります。個別の状況については専門家にご相談ください。

参考資料

(参考資料のURLはいずれも2026年10月21日参照)

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