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現在、国会では「出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)」の改正案が審議されています。この改正案には、日本に在留する外国人の方々や、外国人を雇用する企業にとって非常に重要な変更点が含まれています。それが、在留期間の更新や永住許可申請などにかかる手数料の大幅な引き上げです。
この記事では、行政書士・外国人雇用労務士の視点から、今回の手数料引き上げの具体的な内容、影響を受ける方々、そして今からできる備えについて、分かりやすく解説していきます。
【重要】 本記事で解説する内容は、2026年5月時点で国会審議中の法案に関する情報です。法律はまだ成立しておらず、施行日や手数料の具体的な金額は、今後の政令によって定められる予定である点にご留意ください。
はじめに — 2026年入管法改正案の概要
現在、参議院で審議されているのは「出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律案」です。この法案は2026年3月に閣議決定され、4月には衆議院を通過しました。
この改正案にはいくつかの重要な変更点が含まれていますが、特に影響が大きいのが在留手続きに関する手数料の見直しです。具体的には、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請、そして永住許可申請の際に、出入国在留管理庁(以下、入管)に支払う手数料の上限額が大幅に引き上げられることになります。
この手数料の上限額は、1981年から約45年間、据え置かれていました。今回の改正は、社会経済情勢の変化に対応するためのものとされていますが、その引き上げ幅の大きさから、多くの関心を集めています。
手数料はどう変わるのか(区分別の具体額)
それでは、具体的に手数料がどのように変わるのかを見ていきましょう。 現行の手数料は、在留期間更新や永住許可など、多くの手続きで上限が1万円と定められており、実際の窓口での支払額は収入印紙で6,000円(オンライン申請の場合は5,500円)となっています。
今回の改正案では、この上限額が大幅に引き上げられ、それに伴い実際の手数料も大きく変わる見込みです。政府が国会で示した目安額を含めて、以下の表にまとめました。
| 区分 | 現行の上限額 | 改正案の上限額 | 政府が示す実額の目安 |
|---|---|---|---|
| 在留期間更新 在留資格変更 | 1万円 | 10万円 | ・3か月以下の更新:約1万円 ・1年の更新:約3万円 ・3年の更新:約6万円 ・5年の更新:約7万円 |
| 永住許可 | 1万円 | 30万円 | ・永住許可:約20万円 |
(出典:日本経済新聞、出入国在留管理庁資料)
ご覧の通り、特に長期の在留期間を持つ方や、永住許可を目指す方にとっては、負担が大幅に増加する可能性があります。
例えば、在留期間「5年」の「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ方が更新する場合、現行の6,000円から、目安通りであれば約7万円へと、10倍以上の負担増となる計算です。また、長年日本に貢献し、永住許可を申請する際には、約20万円の手数料が必要になる可能性があります。
繰り返しになりますが、上記の実額はあくまで政府が示した「目安」です。 最終的な金額は、法案成立後に政令で正式に決定されます。
影響を受ける外国人・企業の規模
この手数料引き上げは、非常に広範囲に影響を及ぼす見込みです。 報道によると、手数料引き上げの影響を受ける外国人は、年間で延べ約230万人にのぼるとされています。(出典:日本経済新聞)
出入国在留管理庁の発表によれば、2025年末時点での在留外国人数は過去最多の約412万人に達しており、日本の社会や経済にとって、外国人材の存在は不可欠です。今回の改正は、これら多くの方々の生活設計や、外国人を雇用する企業の経営計画に直接的な影響を与えることになります。
影響が想定される主な対象者
- 就労ビザで働く外国人の方々
- 留学生の方々
- 日本人と結婚している方や永住者の配偶者の方々
- 永住許可を申請する方々
- 外国人を雇用する企業・事業主
政府が示す引き上げの理由と論点
なぜ、これほど大幅な手数料の引き上げが検討されているのでしょうか。 政府は、その理由として以下の点を挙げています。
- 物価上昇への対応
- 入管行政のデジタル化推進
- 日本語教育プログラム等の費用への充当
一方で、この引き上げ案に対しては、いくつかの懸念点も指摘されています。 日本経済新聞の社説では「金額の根拠や使い道が明確ではない」と指摘されており、日本弁護士連合会も慎重な審議を求める会長声明を発表しています。
今後、国会での審議を通じて、手数料の算定根拠や具体的な使途について、より明確な説明が求められることになりそうです。
あわせて押さえたい近時の制度変更(経営・管理ビザ厳格化)
今回の手数料引き上げは、単独の動きではなく、近年の出入国在留管理政策全体の流れの中で捉えることが重要です。
その象徴的な例が、2025年10月に施行された「経営・管理」ビザの厳格化です。この変更により、日本で会社を設立して事業を行おうとする外国人のハードルが非常に高くなりました。
「経営・管理」ビザの主な変更点(2025年10月〜)
- 資本金要件: 原則500万円以上 → 原則3,000万円以上に引き上げ
- 雇用要件: 日本人または永住者等の常勤職員を1人以上雇用することが義務化
- その他: 日本語能力、事業経験、学歴などの要件が追加
この厳格化の結果、申請件数は劇的に減少しました。報道によれば、変更前の月平均約1,700件から、変更後は約70件へと、約96%も減少したとされています。(出典:読売新聞)
このように、入管制度はより実態に即した、質の高い外国人材の受け入れへと舵を切っている傾向が見られます。今回の手数料引き上げも、こうした大きな政策転換の一環として位置づけられる可能性があります。
外国人ご本人・雇用企業が今できる備え
まだ法案は審議中ですが、施行される可能性を念頭に置き、今から準備できることがあります。
1. 最新の情報を収集する
まずは、法改正の動向を正確に把握することが最も重要です。出入国在留管理庁の公式サイトや、信頼できるニュース、そして当サイトのような専門家の発信する情報を定期的にチェックしてください。
2. 自身の在留期限を確認し、計画を立てる
ご自身の在留カードに記載されている在留期間の満了日を改めて確認しましょう。もし、法改正が施行される前に更新時期が到来する場合は、現行の手数料で手続きが可能です。永住許可申請を検討している方も、ご自身の状況と要件を照らし合わせ、申請のタイミングを計画することが大切です。
3. 【企業向け】雇用者の在留期限管理と予算計画
外国人を雇用している企業は、従業員全員の在留期間満了日をリスト化し、管理体制を再確認しましょう。更新手数料を会社が負担している場合は、来年度以降の予算計画に、手数料の増加分を織り込む必要があります。また、手数料の負担に関するルールが就業規則や雇用契約書で明確に定められているか、この機会に見直すことも有効です。
4. 専門家へ相談する
ご自身のケースでどのような影響があるのか、いつ申請準備を始めるべきかなど、具体的なご不安や疑問がある場合は、私たち行政書士のような専門家にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的なアドバイスを構成するものではありません。個別の状況については、必ず専門家にご相談ください。
まとめ
今回は、2026年の入管法改正案で審議されている在留関係手数料の大幅な引き上げについて解説しました。
- 在留期間更新・変更の上限は10万円、永住許可は30万円に引き上げられる見込み
- 政府の目安では、5年更新で約7万円、永住許可で約20万円の負担増
- 年間延べ約230万人の外国人、そして雇用企業に影響が及ぶ
- 法案は2026年5月時点で審議中。施行日・実額は今後の政令で決定される
この改正は、日本で生活し、働く多くの外国人の方々にとって、非常に大きなインパクトを持つものです。当事務所では、今後も最新の正確な情報を提供し、皆様の不安を少しでも解消できるよう努めてまいります。
法改正の動向を注視しつつ、ご自身のビザについてご心配な点がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
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参考資料
- 日本経済新聞社説「在留手数料の引き上げは根拠を明確に」(2026年5月8日)
- 法務省 出入国在留管理庁 公式資料(改正案概要PDF)
- 法務省 出入国在留管理庁「在留手続等に関する手数料の改定について」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
- 読売新聞(Yahoo!ニュース配信)「経営・管理ビザ厳格化で申請96%減」
- 日本弁護士連合会「手数料の値上げ等に関する出入国管理及び難民認定法改正案の慎重審議を求める会長声明」(2026年3月30日)

