特定技能「外食業」が4月13日から受け入れ停止へ。影響範囲と今後の対応を解説

2026年3月27日、農林水産省と出入国在留管理庁は、特定技能1号「外食業」分野における外国人の新規受入れを、2026年4月13日から当面の間停止すると発表しました。同分野の受入れ上限数である5万人に、在留者数が間もなく到達する見込みとなったためです。

2019年に特定技能制度が始まって以来、分野全体での長期的な新規受入れ停止は初めての措置です。人手不足に悩む多くの外食事業者様や、日本での就労を目指す外国人の方々にとって、今後の計画に大きな影響を及ぼすニュースです。

この記事では、今回の受入れ停止措置の概要から、企業がとるべき対応、そして今後の見通しまでを行政書士の視点で分かりやすく解説します。

目次

何が起きたのか——外食業の受入れ停止措置の概要

まず、今回の措置の基本的な内容を確認しましょう。

農林水産省と出入国在留管理庁が2026年3月27日に共同で発表した内容は、以下の通りです。

  • 措置の内容: 特定技能1号「外食業」分野における新規の受入れを停止
  • 停止の理由: 同分野の受入れ上限数(5万人)に在留者数が到達する見込みのため。2026年2月末時点の在留者数は約46,000人(速報値)と報告されています
  • 停止開始日: 2026年4月13日
  • 法的根拠: 出入国管理及び難民認定法(入管法)第7条の2第3項および第4項

この規定は、特定の産業分野で外国人材の受入れが上限に達する場合に、国が受入れを調整できると定めたものです。2019年に特定技能制度が創設されて以来、このように分野全体で長期にわたる受入れ停止措置がとられるのは初めてのケースです。

また、この発表に伴い、外食業の技能測定試験を実施する一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)も、試験の予約手続きを停止しています。

どの手続きが影響を受けるのか

今回の受入れ停止措置は、すべての手続きに影響するわけではありません。どの手続きが停止され、どの手続きは継続されるのかを正しく理解することが重要です。

以下の表に、手続きごとの影響をまとめました。

手続きの種類4月13日以降の対応
在留資格認定証明書交付申請(海外から新規に呼び寄せる場合)原則不交付
在留資格変更許可申請(留学生など→特定技能1号外食業)原則不許可
【例外①】技能実習修了者からの変更申請引き続き審査・許可
【例外②】「特定活動(移行準備)」からの変更申請引き続き審査・許可
【例外③】外食業内での転職(同分野内の会社変更)引き続き審査・許可
在留期間更新許可申請(現在外食業で就労中の方)通常通り審査・許可

この表から分かる重要なポイントは以下の通りです。

  • 既に雇用している方の更新は問題なし: 現在、特定技能「外食業」で雇用している外国人の方の在留期間更新は、これまで通り申請・許可されます
  • 新規採用が困難に: 海外から新たに人材を呼び寄せたり、留学生などを新たに特定技能として採用したりすることは、原則としてできなくなりました
  • 同分野内での転職は可能: すでに特定技能「外食業」の在留資格で働いている方を、転職者として受け入れることは引き続き可能です
  • 4月12日までの申請: 2026年4月12日までに受理された申請については、上限数の範囲内で順次交付・許可される見込みです

なぜ外食業だけ上限に達したのか

特定技能制度には現在19の分野がありますが、なぜ外食業が最初に上限数に達したのでしょうか。その背景にはいくつかの要因があると考えられます。

  • コロナ禍後の急激な需要回復: インバウンド(訪日外国人客)の急増などで外食産業の人手不足が深刻化し、特定技能外国人の採用ニーズが急速に高まりました
  • 在留者数の急増: 実際のデータを見ると、その勢いは明らかです
  • 据え置かれた受入れ上限数: 2024年3月、政府は特定技能制度全体の受入れ見込み数を今後5年間で約82万人に拡大する方針を閣議決定しました。しかし、造船や建設などの分野では上限が大幅に引き上げられた一方で、外食業の上限は制度創設時の5万人のまま据え置かれました

この状況について、日本経済新聞の社説(2026年4月7日付)では、人手不足の状況に応じて上限を柔軟に見直す必要性が指摘されています。

企業が今とるべき対応

今回の受入れ停止を受け、外食事業者の皆様は今後の人材確保戦略の見直しを検討する必要があります。

既存の特定技能外国人の雇用継続

現在雇用している特定技能外国人の方の在留期間更新は通常通り可能です。まずは、貴重な戦力である彼らが安心して働き続けられるよう、適切な労務管理と次回の更新手続きの準備を進めてください。

代替となる採用手段の検討

新規で特定技能外国人を採用できなくなった今、他の方法で人材を確保する必要があります。

  • 身分系の在留資格を持つ外国人の採用: 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった在留資格を持つ方は、就労活動に制限がありません。
  • 留学生のアルバイト採用: 留学生は「資格外活動許可」を得ることで、原則として週28時間以内(長期休業期間中は週40時間以内)でアルバイトが可能です。
  • 国内の特定技能外国人(外食業)の転職採用: 同分野内の転職は引き続き可能なため、人材紹介会社などを活用して転職希望者を探すことも選択肢です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザの誤用に注意

人手不足が深刻化するあまり、不適切な在留資格で外国人を雇用してしまうケースには注意が必要です。「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザは、通訳、企画、マーケティング、経理といった専門的・技術的な業務が対象であり、飲食店のホールスタッフや調理補助といった現場作業に従事させることはできません。

現場作業に従事させた場合、不法就労と見なされ、雇用主は「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。2025年6月施行の改正入管法により、罰則は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(併科あり)に引き上げられています。

個別の状況でどのような採用が可能かについては、必ず専門家にご相談ください。

今後の見通し——育成就労制度と特定技能2号

今回の受入れ停止は「当面の間」とされており、将来的に上限数が見直されれば再開される可能性もありますが、現時点では未定です。中長期的な視点では、以下の制度が注目されます。

特定技能2号への移行

現在、特定技能1号で働いている方は、一定の要件を満たすことで「特定技能2号」へ移行できます。外食業の特定技能2号は2023年8月から解禁されています。

  • 副店長やサブマネージャーといった管理職レベルで、原則2年以上の実務経験
  • 日本語能力試験(JLPT)N3以上に合格
  • 「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格
  • 2号のメリット:在留期間の更新に上限なし(長期就労が可能)、家族帯同が認められる

優秀な人材に長く活躍してもらうため、企業側が2号へのステップアップを支援する体制を整えることが重要です。

育成就労制度の開始(2027年4月施行予定)

2027年4月には、現在の技能実習制度を発展的に解消し、新たに「育成就労制度」が施行される予定です。この新制度は、人材確保と育成を明確な目的としており、外食業も対象分野に含まれています。将来的な外国人材確保の新たなルートとして注目されます。

他分野への波及の可能性

なお、日本経済新聞の社説では、「飲食料品製造業」や「介護」の分野も、2028年前半には上限に達し、受入れが停止される可能性があると指摘されています。

まとめ——受入れ停止への対応は早めの相談を

今回の特定技能「外食業」における新規受入れ停止について、要点を改めて確認します。

  • 2026年4月13日より、特定技能1号「外食業」の新規受入れは停止
  • 海外からの新規呼び寄せや、留学生等からの資格変更は原則不可
  • 現在雇用中の方の在留期間更新や、同分野内での転職は引き続き可能
  • 企業は、身分系在留資格者や留学生アルバイトなど、代替手段の検討が急務
  • 中長期的には、特定技能2号への移行支援や、育成就労制度の活用が鍵

外国人材の雇用に関するルールは複雑で、法改正も頻繁に行われます。自社の状況でどのような手続きが可能か、あるいはどのようなリスクがあるのか、ご不明な点がございましたら、専門家にご相談ください。


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